(第4回)
前回を半端なまま終わらせておいてよかった(まぁホントは途中で書くのに飽きて放ったらかしになっていただけなのだが)。というのも今度のWWDC 2000において、今年はじめの発表からだいぶ修正がされているのである。
この第2回でデスクトップがなくなってどうにもMacらしからぬ操作感になりそうだと書いたが、どうやら最終版ではどうにかそれが残される可能性が高くなってきた。具体的には主に次の3点。
1.デスクトップにハードディスクやCDなどが自動的にマウントされる。
2.デスクトップにファイルやフォルダの実体を置ける。
3.「Finder」でツールバーを隠すことができ、現在のフォルダの表示に似たような感覚で扱える。
4.「Finder」でファイルをドラッグすると移動、optionキーを同時に押すとコピーになるという方法がとられる。
ちょっと4.についてはこれまで書いていなかったが、実は今回修正されるまではファイルをマウスでつかんでドラッグするとコピーになっていたのだ。ただ移動したい場合は同時に(たぶん)optionキーを押さなくてはならなかった。
さて、「Finder」はだいぶうまい具合に改良されているようである。前のバージョンであった「View」という大きなボタン(目の絵が書いてあった)は小さい3つのボタンになり、ウィンドウの右に置かれている。これはViewモードの表示と、その切り替え操作が分かりやすく統合され機能している。
また、検索ウィンドウは外されたようだ。結局無理にここに入れるよりは「Sherlock」として別のアプリケーションにしておく方が良いということになったのだろう。
それはともかく、今回の改良点で重要なのは上に並ぶ大きなボタンのツールバーを隠すことができるようになったことである。こうするとだいぶ感覚的に現在のMac
OSに近いものとなる。
ということでだいぶ「Finder」は使い心地が改良されつつあるようで安心した。しかし、である。タイトルバーに常に「Finder」と表示されているのはどうであろう。フォルダを開くと「Finder」というタイトルのウィンドウが開く、というのは実に分かりにくい。現在のMacOSのようにタイトルにはそのフォルダの名前が表示された方が親切ってものではないだろうか。
そもそも「Finder」というのはこれほど存在感をアピールしてよいものなのだろうか?確かにコンピューター技術者的な発想では「Finder」だってひとつのアプリケーションでしかないだろう。しかし、フォルダを開いたりファイルを移動させる度に「Finder」を使っているのだ、という意識を使用者に与えることはないのではなかろうか。
さて、賛否両論あったDockにも改良が加えられている。以前のバージョンにあった「タイル」がなくなり、Dock自体は半透明の長方形になり、アプリケーションとドキュメントの登録場所が左右に分けられ、その間に仕切り線が設けられた。
Appleの公開しているムービーを見ると、左のアプリケーションのエリアにドキュメントを持って行っても場所を空けてくれない。そして右のエリアに持ってゆくと隣のアイコンがさささっとよけてスペースを空けてくれ、Dockに登録できるという動作をしている。なかなかよく出来た仕組みではあるが、いくつかの疑問は残る。
例えばDockに登録されているアプリケーションにファイルをドラッグ&ドロップして開くことはできるのか。まあこれはできるのだろう。しかし、某所でも取り上げられていたが、アプリケーションを開くことのできるアプリケーション(例えばResEditやFileBuddyなどのユーティリティー類)でアプリケーションを開く時はどうなるのか。そこへドラッグ&ドロップした場合、親切にも場所を空けてくれてしまったらいつまでたっても開けない。
細かいことはとにかく、これもだんだん使い心地が良くなってゆくのであろう、と期待するしかない。Dockに登録してあるアイコンを外すと煙が出て消える、というのはいかにもMacらしいアソビがあってよい。しかし、せっかくなのだから煙の絵をもっとリアルに描いてもらいたいものだ。
そうそう、もっとも大事なことを忘れていた。今年のはじめには夏にパッケージを出荷するということになっていたが、これは来年まで延期されたようだ。ただ、夏には「パブリックベータ」がリリースされる、とのこと。どのような形で利用できるのか詳細は明らかになっていないが、Steve Jobsは「インターネットでダウロードできる」というようなことを言ったらしい。一体どこに(たぶん)数百MBもあるファイルをダウンロードするヤツがいるのだろうか。現実的な方法としてはAppleに申し込むと実費程度でインストールCDを送ってもらえる、というもの。日本だと2,500円といったところだろう。まさかβ版をパッケージとしてそれなりの値段(15,000円とか)で発売することはあるまい。
結局一般のユーザーは来年(2001年)の正式リリースを待つことになるのだろう。そしてその頃にはすべてのMacにOS Xがプリインストールされて出荷されることになっている。(つづく)