(第2回)
まず気になるのは実際の使い心地を大きく左右するインターフェイスである。まだ製品が出荷されているワケじゃないので後で変更があるかも知れないが、発売は今年の夏ということだからほとんどこれで確定と思ってよいだろう。Appleのサイトに詳しい情報があるので見てもらうとして、要は今までのMacOSとはちょっと違ったものになるらしいのである。
現在のMacOSでは画面はデスクトップと呼ばれていて、つまりは机の上のメタファー(喩え)なのだ。机の上にまずハードディスクのアイコンがあり、その中にフォルダがあって、そしてその中にフォルダやらファイルやらアプリケーションやらが入っていて、というような仕組みになっている。フォルダやらファイルやらを机の上に散らかしておくこともできるし、邪魔になったら片付けてもよい。フォルダやファイルをカーソルでつかんで移動でき、それらを開く時はダブルクリックする。不要なファイルはゴミ箱に捨てる。と、だいたいこんな具合である。
こんな風に現実世界と似たような感覚で操作できるところがMacOSの分かりやすさにつながっていたのだが、Mac OS Xではこの“机の上”という世界をなくしてしまうようだ。Appleのサイトにはこうある。
Mac OS X makes desktop clutter a thing of the past with the Dock. (MacOS XはDockによってデスクトップを過去のぐちゃぐちゃしたものにしてしまうのだ)
事実、ここに公開されているスクリーンショット(といいつつ何故かdesktopと呼んでいるが)を見ても動作中のアプリケーションのウィンドウがあるだけで、ハードディスクのアイコンもフォルダのアイコンも「デスクトップ」には乗っていない。
ではどうするのか。現在のMacOSで“机の上”という空間を提供しているのはFinderだが、Mac OS Xの「Finder」は一種のファイルビューアーのようなものになるらしい。これに検索エンジンやらネットワークブラウザの機能が統合されて、たとえそれがネットワーク上にあっても、ローカルファイルと全く区別なく扱えるのだ、ということをAppleは強調している。
う〜む、ホントにそうか?という気がしないでもないが。確かにこれからパソコンもネットワーク化がどんどん進むだろうからそういう方向もあってはよいとは思うのだが。でもなぁ。
で、このMacOS Xの「Finder」ではそのウィンドウ内にフォルダやファイルを今のMacOSと同じようなアイコンで表示することもできる。で、たとえばそこで表示されたフォルダをダブルクリックすればフォルダがしゅぱっと開いて、というお馴染みの世界が広がることになるのだろうか。いや、あくまでもフォルダの中が見えるのはこの「Finder」のウインドウ内でだけのようだ。
この「Finder」のキモはどうやらファイルの階層をどんどん右へ右へとコラム表示して並べてゆくところにあるようだ。これによってどうやってそのファイルにたどり着いたのかが一目瞭然となり、初心者でもすぐに理解できるのだ、という。
実はこの「Finder」の元になっているのはOpenStepで採用されていたファイルビューアーらしい。1999年のWWDCでも「その経験からこのインターフェイスが優れていることは実証済みだ」と言っていたが果たしてどうだか。確かにこういうファイルビューアーがユーティリティーとしてOSに収録されているのは良いかも知れないが、これが「新しいFinderです」と言われてもなぁ。
上にもちょっと書いたがOS Xの「デスクトップ」にはハードディスクやフォルダ、ファイルのアイコンを置くことはできない、らしい。置くことができるのはエイリアスだけである、らしい。ファイルを移動したり削除したり、そういうことはすべて「Finder」というアプリケーション(と言うべきだろう)の中でやれ、ということのようだ。
このようにAppleはデスクトップを過去のものとして葬り去り、同時にFinderを単なる便利なファイルビューアーアプリケーションにしてしまうことに決めたようなのだ。
そしてそれに代わるインターフェイスとして「AQUA」というものを位置付けているのだが・・・(つづく)