私とMacの付き合いはかれこれ4年以上にもなる。大学4年になって卒論を書くのに研究室に配属されるとそこにあったのだ。そのときはまだLC
575が1台あるきりだった。と思う。というのも、はじめのうちオレは何故か98noteを使ってたのでどんなMacが何台あったかなんてよく見てなかったのだ。今ある機種を見る限り1番古いのがLC 575だからこれは始めからあったのは確実だと思う。
だいたい何で98noteなんか使うことになったかと言うと、実はこれは3年の時に実習で使った事があり、一応何となく使い方が分っていたからというだけの事に過ぎない。それにこれだとあまり他に使う人もいなくて自分専用みたいにできたし、なにより自分の机の上に載っかるのがよかった。
まぁこの頃は研究室自体にあまり行かなかった。大学院の試験を受けようと思っていたのでその勉強(といっても英単語を覚えていただけだ)をしたかったし、週1回講座のゼミがあるだけで授業も他には全然なかったし、たいして大学に来る必要もなかったので、毎日家でゴロゴロしていた。おかげでその頃の生活週間が未だに抜け切らない。
それでも友人のAはこのMacで遊ぶためだけに研究室に行っていたようだ。オレは当時Macが何なのかハッキリ言ってよく分ってなかった。その2年程前に(だと思うんだが)香川の方で大学に通っていた兄がMacを買ったという事を聞いていて、ああ、これがMacというものか、ぐらいに感じていたのだ。なにしろ、それまでオレはAppleとアプリコット(たしか東芝か三菱かが出していたパソコンの名前)をごちゃ混ぜにしていたくらいだ。
それからあっという間に月日は流れ、大学院の試験にも通り、卒論も何とかでっち上げた。といっても先生に提出したのは大学院に進学してからだったのだ。卒論は98noteでずっと書いていたのだが、これは感熱紙を使うプリンタしかつなげられなかったので、結局印刷する段になってMacに移しかえて作業しなくてはならなかった。
それならば始めからMacで作った方が楽だなと考え、大学院になってからはMacで作業する事の方が多くなった。その頃には研究室のMacも増え、Performa 5210とLC 630が新たに加わっていた。(つづく)
LC 575にPerforma 5210とLC 630が加わり、3台になった研究室のMacを使うことになったオレだったが、その時にとてもお世話になったのは研究室の先輩のKさんだ。Kさんは現在SEになっている程だからコンピュータにも詳しく、これらのMacのメンテナンスも彼によって行なわれていた。
KさんはMacの基本的な操作をはじめとして、オレの全く見当違いな質問にもとても親切に答えてくれた。また、大学院1年の時にうちの研究室も学内LANがつながるようになったが、これもKさんの力によるところが大きい。
うちの研究室にあったMacはいずれも標準でEthernetポートを持たない機種なので、学内LANに接続するにはカードを増設しなくてはならないのだが、うちの研究室は予算が余り多くないため先生にいっても財布の紐はなかなか固い。それを粘り強く説得したのは他ならぬKさんであった。そしてKさんの力なくしてはハードウェアがあっても結局LANに接続することはできなかっただろうと思う。
Kさんが大学を去ったあと、これらのMacのメンテナンスは成行きでオレがすることになったが、やってみてKさんは大変だったろうなぁと改めて感じた。そして意味もなくCommand-Control-Powerで強制再起動を繰り返していたオレを、隣であたたかく見守っていたKさんの笑顔の裏にはどんな気持ちが隠されていたのだろうと思うと何だかとてつもなく申し訳ない気分になった。(つづく)
大学院2年目の秋、オレはとうとう自分のMacを買うことにした。研究の方でアンケート調査の分析をやることになっていて、それに使うためだ。いや、多分それは口実に過ぎなかったのだと思う。とにかく自分だけのMacが欲しかったのだ。
しかしいざ買う段になってみると、どれを買っていいものかさっぱり分らなかった。その当時は今と違ってMacのラインナップは多岐に渡り、ちょっとだけ違う似たような製品が乱立している状態だったのだ。
そこで既にMacを所有していた兄と、ここでも前に登場した友人のA(研究室のMacで遊ぶ為だけに大学へ来ていたヤツだ)に相談してみた。兄が使っているのはLC475なので「オレのに比べりゃどれもずっと速い」などという返事でちっとも参考にならない。友人A(こちらはPerforma 6210かなんかを使っている)にしても似たようなものだった。
ただ、二人に聞いて大いに参考になったのは、OSのバージョン(当時は漢字Talk7.5.3が登場したばかりだった)は新しい方がいいこと、雑誌の広告でとにかく安い店を探すこと、メモリは最低でも48MB位は積まないと使えないことであった。
ということでまずはカタログをもらってきて、最新のラインナップでどれがいちばんよさそうか見当をつけた。ついでに販売店の広告がいっぱい載ってる雑誌(それはMacFanだった)を買ってきてだいたいの相場を頭にたたき込んだ。性能と価格を照らし合わせて、その当時一番の選択肢はPerforma5410であるらしかった。
今になって思えばPerforma5410は最新機種だったのでまだまだ値段が下がっておらず、あと1月ほど待てば3〜5万円くらいは安くなっていたのだろうが、こういうものは欲しい時に買って満足できればいいのだ、と自分に言い聞かせて買うことにした。
1996年9月25日、大学の期末試験を終えたオレは意気揚々と秋葉原に向かった。雑誌とインターネットで調べておいた相場を思い出しながら電気街にあるMac売り場を端から見て回った。どこも同じような値段で、特別安いところもなかった。結局ははじめから買おうと決めていた店で買うことにした(実はこの店、偶然にも兄がMacを買った店と同じだったのだが、数カ月後になくなってしまった)。
本体とメモリ、その他諸々含めて27万円台でというのがぎりぎりの予算だった。当時はメモリの値段も今に比べるとびっくりするくらい高く、32MB増設するのがやっとだった。しかしその頃はまだ消費税が3%だった。
買った次の日にはもう家に届いた。大学の研究室にあるPerforma5210と匡体はそっくり同じなので目新しい感じはしなかったが、自分だけのMacだと思うととても嬉しかった。動かしてみると起動音も違うし(5210はDm、5410はG)、なによりも段違いに速かった。大袈裟なようだが、このMacさえあれば何でもできる、と思ったものだ。(了)