BeOSしちゃいました

(第1回)

〜「BeOS」って何?〜

Mar.7

 果たしてここを見ている人がどれだけBeOSについての予備知識が持っているかは全く不明である。かく言うオレも「BeOSとは・・・」などと偉そうなことを書く資格はない。なにしろBeOSを使いはじめてからまだほんの1ケ月ぐらいだ。ということでこのコーナーはBeOSについてほとんど知らないという最低ライン、つまりオレを基準として話を進めていくことにしてしまえ(なんと投げやりな)。
 さて、第1回目の今日は「一体BeOSって何もの?」という辺りから話を始めようと思う。たぶん大筋ではあっている筈なので細かい所が間違ってても大騒ぎしないで下さい(そして間違っている箇所をそっと教えて下さい)。
 話はちょっと前になるが、ある男がApple社を去ろうとしていた。彼の名前はジャン・ルイ・ガゼー(Jean Louis Gassee)、製品開発部門の責任者を務めていた。彼の手によって世に送りだされた製品の中に「Macintosh Portable」がある。誰がこんな巨大なもんを持ち歩くんだっ、と非難ごうごうの失敗作だったが、ポインティング・デバイスにトラックボールを搭載するなど、後のPowerBookにもつながる画期的な仕様が盛り込まれていた。しかしその巨大さは社内でも笑いのネタに供され、ガイ・カワサキが「キミにウォークマンをプレゼントしよう」といってガゼーの退社祝いに巨大なラジカセを贈ったというジョークは有名だ。
 それはさておき彼は当時のAppleのCEO、ジョン・スカリーと折り合いが悪くなってスピンアウトしようとしていたのだった。なにしろ「Portable」にフルピッチのキーボードと8〜12時間はもつ豆腐大のバッテリーを積んだ男だ。ハードウェアについては一切妥協を許さない、という彼のポリシーは当時のスカリーの低価格・大衆化路線には真っ向からぶつかったということなのだ。
 で、その後すぐにガゼーが起こした会社が「Be Inc.」。持ち前の技術オタクぶりを発揮して先進的なマシンの開発に着手したのだった。全く新しいマシンを創るというのは、今までの古い技術との互換性を気にせず、先進の技術のいいとこだけを採用してしまえる、という利点がある。もちろんOSも独自仕様のものだ。
 そんな経緯で出来たのが「BeBox」というマシン。PowerPC603/75MHzを2つ搭載し、基盤の設計はCHRP仕様を見越した設計になっていた。そしてそのマシン上で動くのが「BeOS」、CPUのパワーを最大限に利用するために対称型マルチプロセッシングに対応、高度なメモリ保護機能を備えた「モダンな」OS、というふれこみで売り出した。
 BeBoxは一部の人たちにかなり好意的に迎え入れられたが、その後Be社は自社マシン、BeBoxの開発を止めてしまう。何しろBe社というのはエンジニアが全部で数10人しかいないような小さな会社なのだ。自社マシンを作りつつOSの開発も行なうというのは体力的に無理があった、ということなのだろうか。BeBoxの開発を止めた一方でBeはOSだけをバラ売りし始めていた(初めはただで配っていた)。まず目をつけたのがMacintoshとその互換機。もともとPowerPCベースのマシンで動いていたBeOSであるから、PowerPCを積んだMac上で動作させるのはそれほど難しいことではなかった(のだろう)。
 ところが、Appleにあのスティーブ・ジョブズが復帰し、MacOSのライセンスを止めてしまったため、Mac互換機はなくなってしまった。一気に市場が小さくなった上に新しいMacintoshのハード(PowerMac G3など)の技術情報も教えてもらえないので、最新の機種ではBeOSを動作させることも出来ない。
 そこでBeはIntelハードウェア上で動くBeOSを開発、販売を開始。これがBeOS R3.1から。これで勢いを盛りかえしたBeは日本語環境を装備したR4を発表し、日立と提携してBeOSプリインストールマシンを売り出し、Intelから資金提供も受けてちょっと懐具合もよくなって現在に至る、ということなのだ。
 と、かなり雑に書いてみたがだいたいのところは分かっただろうか。そんな訳で次回からは実際にBeOSに触ってみよう!ということで話を進めてゆく。(つづく)


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