Joey Calderazzo


Sep.9

 今回はちょっと真面目にレビューっぽい記事を。知る人ぞ知るって感じなんだがJoey Calderazzo(長いので以下Joey)というピアニストだ。
 と、偉そうに書き出してみたけど実はこの人の経歴なんかはよく知らない。でもたしかM.ブレッカーのバンドのメンバーとして日の目を見るようになったのじゃなかったかと思う(CDのライナーノート-英語なので自信なし-によれば22才でブレッカーのところに入って、1990年に初リーダー作"In the Door"を出したということだ)。去年だったかにブレッカーが来日した時、一緒にニュースステーションに出演していたのを覚えている人はあるだろうか(多分ほとんどないだろう)。
 まあとにかく、この人の演奏でオレが初めて聴いたのは"TO KNOW ONE"(BLUE NOTE、1991)というアルバムだ。ベースはD.ホランド、ドラムスはJ.デジョネット、そしてブランフォード・マルサリースまで参加しているという超強力メンバーだ。こういうものをどう表現すると一番伝わるか、一晩寝ながら考えたんだが、とにかく、D.ホランドのベースがブイブイ言わせてデジョネットのドラムがズドドドドッて感じでブランフォードもぶぁりぶぁり吹きまくる。てなあたりだろうか。って肝心のJoeyの描写が抜けているような気もするが、もちろんJoeyもいうことなしだ。とにかく一度聴いてみることをお勧めする。
 しかし、ちょっと引っかかるものもある。このアルバムはこれで充分すぎるくらいの出来で、それぞれのプレーヤー同士の息はぴったりといっていいのだが、どうもメンバーからして「企画もの」的な感じがただよってるし、なんか心なしかJoeyも窮屈そうに弾いている、ように感じられたりもする。
 そんなすっきりしないものを一気に払拭してくれるのが"our standars"(COWI、1996)だ。前出より5年を経て(特に関係ないがジャケットの写真を見ると倍くらいに太っている。イタリア男のなせる技か?)円熟した演奏を見せつつも、若手たちと(といってもJoeyだって若いのだが)冒険に満ちたスリリングな演奏を聞かせてくれる。
 えーと、全然この辺りの知識が欠如してるのでよく分らないのだが共演者はベース:Lars Dannielsson、ドラムス:Jack Kochanというヨーロッパ人だ(たぶん、名前からして)。この2人がどう位置にいる人たちなのかは知らないが、とにかく、3人でぴったりと息を合わせながらもお互いに「こんなのはどうだ」という風にちょっかいを出し合って楽しくアソンでいる。聴いてるだけで楽しくなるアルバムだ。
 ベースのソロ"Where is my Duck?"から"Footprints"に入っていく辺りもカッコいいし、ラストナンバーの"Stella by Starlight"が3拍子なのも泣かせる。「これがオレ達のスタンダードだ」という彼らの宣言にぜひ耳を傾けて欲しい。ってなんかこれじゃあレコード会社の広報みたいだな。


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