ベイトリール考


Oct.15

 オレがバス釣りを始めたのはかれこれ15年以上前だ。その時手に入れたのベイトキャスティングのタックルで、竿がダイワの安物グラスロッド「ストライカー」、リールがシマノのやや安い「Bantam MagPlus 15SG」だ。バスならベイト、という根拠薄弱な先入観もありスピニングタックルは全く眼中になかった。
 そのころちょうどベイトリールにマグネットブレーキが採用され出した頃で、仲間のうち少し前にリールを買ったヤツは遠心ブレーキのリールだった。オレは特に何の気もなくマグネットブレーキのリールを買った。
 その数年後、もう一つリールを買った。同じくシマノの「Black Magnum 200GT」というもの。当時日本で流行し出したフリッピングに便利な(のかどうかよく分からんが)「フリッピングレバー」という機能が付いていた。その他の機能はごくオーソドックス。当然マグネットブレーキ。
 リールのボディは「15SG」が塗装した鉄、「200GT」はグラファイト製だった。感覚的に鉄よりもグラファイトの方が軽いような気もしたが、何しろボディーの大きさが1.5倍程あるので「200GT」の方がずっと重かった。まぁこのボディー形状で鉄を使っていたらもっと重くなっていたのだろう。
 この二つのリールは特に故障することもなく長い間使い続けた。「15SG」の方は今から数年前、ハンドルを止めるナットがいつの間にか外れるという致命的なダメージを受け、使用を止めた。また、逆回転 ON/OFFスイッチもガタついてきた。それ以来「200GT」をずっと愛用してきた。
 さて、10年以上ぶりに新しいベイトリールを買うことになった。新しい竿にマッチさせるためである。ベイトリールに関しては「いつかはアンバサダー」という決心を漠然と抱いていたのだが、実際あれこれ検討してみるとあまり魅力的に思えない。値段が(輸入品である所為だが)不当に高い、というのもあるし、ハンドルを回した時のあのカリカリいう感触もいまいち好きになれなかった。なにしろバス釣りを始めてから15年以上シマノのリールを使い続けてきたのだ。よし、こうなったらシマノのリールで通してやろう。
 ということで手に入れたのが「AXIS 100」。ボディーは金属製。その割に軽い。ブレーキは何と、遠心ブレーキ。カタログをひっくり返してマグネットブレーキの物を探したが、見当たらなかった。そして逆回転スイッチがない。どういうことなのだ。
 ボディー素材が金属製になった理由は何となく想像できる。グラファイトの成型は相当コストがかかり、技術的にも難しいのだろう。一方近年合金技術がよくなり、軽くて丈夫な合金が開発された。成型技術も永年の蓄積がある。
 逆回転スイッチについては。これはまぁ要らんやろ、ということに落ち着いたのかも知れない。今まで何となく付いてるのが当たり前みたいに思っていたが、実際使ったことがあるか、と言われると全く覚えがない。
 そしてブレーキ。なぜあれほどもてはやされていたマグネットブレーキが消え、遠心ブレーキが復権したのか。一つにはコストの問題。さらに重量の問題。といったあたりがすぐに思い浮かぶが。
 実はもっと大きい要因に「オートマ化」というのがあるだろう。つまり、マニュアル的に釣りをしながらちょこちょこマグネットブレーキのつまみをいじるのは、殊に最近の釣り初心者の増加という流れの中では敬遠されるのだろう。遠心ブレーキの調節の方がよっぽど面倒であるが、事実上外から普通にアクセスできる部分にブレーキを調節するためのデバイスは用意されていないので、頻繁にブレーキ力を変えることは想定されていないのだろう。


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